ヒートテックは寒さ対策のグッズとして大人気ですが、乾燥肌の人が安易に着用するのは考えものです。
なぜなら、着ることによって乾燥を促進する恐れがあるからです。つまり、以前よりもかゆみが増してしまうこともありえます。
そのため、皮膚に問題がある人に着用を禁止する医師も見受けられます。
その危険性を理解するには、ヒートテックのメカニズムの概要を知らなければなりません。
水は蒸発するときに周辺から熱を吸収します。
暑い夏場に、玄関先に打ち水をするのはそのためです。
逆に水蒸気が水に戻るときは熱を放出します。
人間の体の大部分が水分で構成されているのは有名な話です。
そのため、活動しているだけで体から少しずつ水分が蒸発していきます。
ヒートテックはその水分をキャッチする仕組みになっており、それによって温かさを実現することが可能になっているのです。
簡単にいうと、繊維が人の体から出た水蒸気をつかまえて水に戻します。
このときに熱を放出するので寒さが和らぐということです。
つかまえた水分には、繊維の隙間をふさいで熱が逃げるのをガードするという働きもあります。
しっかりと繊維を体に密着すると熱が逃げにくくなります。つまり、熱のガードと放出をうまくコントロールしていることに他なりません。
それだけ聞くと、物理現象をうまく利用した画期的な衣類だと感じられるでしょう。
それは事実ですが、乾燥肌の人は手放しに喜んではいられないのです。
肌の水蒸気を取り込むことが前提となっている時点で警戒しなければなりません。
もともと肌の水分が少ない状態であるにも関わらず、それを用いて熱の吸収と放出を繰り返します。
そのような負担のかけ方をすると、乾燥が進行していく可能性は十分にあるということです。
肌のバリア機能が低下していくことが問題となります。
紫外線のダメージを受けやすくなるなど、他の要因による肌荒れも引き起こしてしまうからです。
その結果、かゆみがますます強くなるリスクがあります。