アトピー肌・乾燥肌・敏感肌の3つは、症状を持っていない人にとっては違いが分かりにくいものです。
このうち、アトピー肌と乾燥肌については、明確に区別することが出来ます。
それは、アレルギー素因を持っているか否か、という点です。
アトピー肌とは、アレルギー性皮膚炎に含まれる疾患です。
何らかのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を持っており、肌がそのアレルゲン過敏に反応して湿疹性の炎症を繰り返してしまう、という症状です。
遺伝的要因が大きいといわれています。
世界アレルギー機構が定義する難しい言葉を使えば、アトピーとは「主にタンパク質のアレルゲンに暴露されIgEを産生する傾向」のことをさします。
要するに原因物質を(ちゃんと調べれば)特定できる、原因がはっきり存在する症状のことを言います。
対策としては、原因物質を特定して、その物質との接触を避けることが重要です。
これに対して乾燥肌とは、激しいかゆみ、炎症などを発症する点ではよく似ていますが、アレルギー素因を持っているわけではありません。
乾燥肌とは、皮膚の表面がカサカサになって炎症を起こし、角質層の水分が減少したり皮脂の分泌が低下してしまいます。
すると皮膚の表面が乾燥した状態が続き、かゆみを感じるのです。
しかし何か特定の物質に反応して起こる症状ではないので、明確な対策は難しく、乾燥を防ぐために保湿を行う工夫をする、という漠然とした言い方になってしまいます。
敏感肌とは、皮膚科学的には定義を持たず、上記2つのように明確な区別は難しい用語になります。
しばしば化粧品メーカなどが、紫外線や化粧品などの薬剤によって、通常の人では起こらない皮膚トラブルを起こしやすい人のことを敏感肌と呼ぶことがあり、そのくらいの曖昧な定義でなんとなく用いられている用語といえます。
ただし敏感肌と言っても、実は化粧水の中の特定の物質に反応していて、アトピーが原因であったり、単に乾燥しているだけの乾燥肌であったりと、上記2つのどちらにも該当しうる曖昧な表現である、と言えます。
原因を特定したい場合は、皮膚科にかかるのが一番です。